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代表取締役社長:小林一朗インタビュー

“ライフスタイルファクトリー”の名に
相応しい人の暮らしを創造する存在に

誰も思いつかない画期的なアイディアがマルイチのベース

当社は1950年に創業。2020年のオリンピックイヤーに70周年を迎えます。
創業者である祖父の小林一馬が「小林椅子店」として越前の地に開業しました。彼は職人であると同時に、とてもアイディアマンだったと聞いております。
また2代目の小林幸一は創業者の一馬が「良い商品を作っていれば売れる」という自論に対して「自分たちが売りに行かないと売れない」と考え、1970年初め頃に販路を関西・中部方面へ広げていきました。今でもお取引頂いております京都のある家具店さんに営業へうかがった際、「マルイチさんでしか作れないものを見せて欲しい」とのオーダーがあり、そこで幸一はその頃では革新的だった鉄のフレームをソファに組み込みました。湿気の多い日本海から関西へ木製の家具を運搬すると、どうしても歪みが出てしまうのですが、その問題を見事にクリア。しかも壊れにくくて丈夫なデザインだけに、お客様にもとても気に入っていただいたそうです。それが当社の礎となった「ブリスク」というモデル。現在は廃盤になりましたが、日本の住環境にフィットするミニチュア版の「ミニブリスク」は1977年からのロングセラーで健在です。

代表取締役社長:小林一朗

そんな当社は常に右肩上がりではなく、低迷した時期もありました。そこで社員が一丸となって実際にマルイチの製品を使ってくださるエンドユーザーの意見に耳を傾けました。それで生まれたのが1982年に発売された、“床に暮らす”をコンセプトにした「スキップ」です。

背もたれに身体を傾けて床に座っている人が多く、その使い方をヒントにして考案したモデルです。その後、漆器・和紙・焼き物といった越前の伝統工芸とタッグを組んだ「ジパング」というシリーズを1983年に発表。

問屋を省いた当時としては珍しい流通も相まって、数々のお客様に喜んでいただきました。当社は誰も思いつかないような画期的なアイデアを武器に、常にチャレンジングな姿勢で物作りに取り組んでいます。

”床に暮らす”をコンセプトにした「スキップ」
”床に暮らす”をコンセプトにした「スキップ」
越前の伝統工芸とタッグを組んだ「ジパング」

次世代に受け継いで愛用していただける安心したクオリティ

       

当社の強みは何と言っても圧倒的な品質力。マルイチが独自に開発した、背もたれに寄りかかると自動的にリクライニングしてくれるソファは、構造的な箇所だと10年間の保証が付きます。これは永く愛用していただいても「壊れることはない!」という自信の裏付けです。

例えば前述の「スキップ」を例に出すと、20年・30年とお使いいただいているお客様もいらっしゃいます。中にはあるご夫婦が結婚されたときに当社のソファをご購入され、お生まれになったお子様がマルイチのソファで育ち、そのお子様が結婚されるタイミングでまた当社の製品を買っていただくことがありました。家具メーカーとしてこんなに嬉しいことはありません。マルイチセーリングの商品を通じて、世代を越えて喜んでいただくことが我々の目指すところです。

マルイチのスローガンを全世界の人々に知ってもらいたい

その「次世代に受け継ぐ」を具体化したのが、マルイチの企業スローガンでもある“ライフスタイルファクトリー”という言葉。
実際に明確なキーワードになったのが、“生活製作所”というテーマのもとに1987年に東京の恵比寿で行った総合展示会です。マルイチはただ物を販売するだけでなく、創業から生活のすべてを提案することに注力しています。一人ひとりの暮らしのベースを作り上げるべく、現代の生活スタイルにフィットさせていくのも当社の使命です。今はスマホ片手にソファに座るなど、一つ屋根の下で生活していても家族団欒の時間が少なくなっています。その現状を踏まえ、「同じ空間の中で一体感が生まれて、どのようにくつろぎを提供できるか」を模索している段階です。

また、当社のフィロソフィを全世界へと浸透すべく国際化も進めています。お隣の韓国だけでなく、過去にはミラノサローネにも出展するなど、少しずつではありますが、海外からのオーダーも増えるようになりました。マルイチセーリングの夢に終わりはありません。エンドユーザーの快適性、永く愛用していただける品質性を兼ね備え、そして生活空間のすべてを創造する。“ライフスタイルファクトリー”の本質をこれからも追求していきたいですね。

PROFILE

小林一朗
マルイチセーリング株式会社 代表取締役社長

1966年福井県越前市生まれ。
大学を卒業後に神戸の企業にて就職し、1992年にマルイチセーリングへと入社。1992年から約3年間、創業80年を越えるドイツの老舗メーカー「ムスタリング社」に出向。工場を持たずに家具製造を行う同社のファブレス経営を学び、販売とメーカーの中間に立ってマーケティングなどを担当。その後、2013年に現職に就任。スローガンでもある“ライフスタイルファクトリー”を日本のみならず、世界中の街に広めるべく尽力している。

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